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2022年7月 【留学レポート】オックスフォード・ブルックス大学 外国語学部英米学科4年 M.S

2022年08月16日

7月が終わり、留学生活も半分以上が過ぎました。私は、コロナの影響で渡航時期が半年ずれたため、4か月も夏休みがありましたが、そんな長い休みも残り1か月半となりました。アルバイトのトライアルに挑戦したり、卒論のテーマを考えたり、旅行したりなど、自分なりに楽しく充実した日々を送っています。私は個人経営のカフェと五つ星ホテルで、バイトのトライアルをしたのですが、日本との接客の仕方の違いや働き方の違いに驚き、軽いカルチャーショックを受けました。トライアルを通して、海外で働くことを将来の視野に入れるきっかけになったので、とても意義のある経験ができたと思います。

今月のレポートでは、SDGsに関連する気づきを四つ紹介したいと思います。

一つ目は、「5.ジェンダー平等を実現しよう」に関することです。私の寮の近くに、公園があるのですが、平日に関わらず、お父さんと子どもの姿をよく目にします。日によっては、お母さんよりお父さんの数の方が多いときもあります。下の写真を撮った日は、ご覧の通り、お父さんしかいませんでした。日本も少しずつ変わってきてはいますが、いまだに、女性が子育てをして、男性は遅くまで家族のために働くという性別役割分業が美徳とされるイメージが根強く残っているように感じます。そのため、この点で、イギリスは、ジェンダー平等が進んでいると思いました。

二つ目は、「14.海の豊かさを守ろう」についてです。プラスチックごみが、海や海洋生物、そして人間の身体に甚大な悪影響を及ぼしていることが、世界で大きな問題になっていますが、イギリスでは、使い捨てプラスチックの数が圧倒的に少ないです。チェーン店や街のカフェでも、紙ストローが使われていますし、大学のカフェでも、木製のスプーンやフォークが置いてあります。また、ショッピングモールには、使い捨てプラスチックをリサイクルした服なども見かけます(しかも安価で)。このように様々な場面で、プラスチック問題に取り組む様子が覗えます。

三つ目は、「15.陸の豊かさを守ろう」についてです。イギリスでは、ほとんどのレストランに、ベジタリアンやビーガンの方のためのメニューがあります。また、ドラッグストアや雑貨屋には、動物実験を行っていない、環境に優しい化粧品なども並んでいます。動物保護のためにビーガンになった友人がいるのですが、その子は腕に牛のタトゥーを入れていて、私は日本との大きな違いを感じました。これらの背景には、宗教や文化的な理由もあると思いますが、環境問題やアニマルウェルフェアの意識が市民レベルでかなり高いことも理由の1つだと考えられます。一方で、イギリスは、ポイ捨てされたごみを拾う人が少ないので、街の綺麗さという面では、日本の方が清潔に保たれている気がします。

最後に「10.人や国の不平等をなくそう」に関して書こうと思います。ある日、バスの中にトランスジェンダーの学生が乗っていました。生物学的には男性ですが、真っ赤なリップを塗って真っ赤なドレスを着て、すごく綺麗で目立っていました。そして、同じバスに乗っていた方が、その学生に「その服、とても素敵ね」と話しかけており、私はその光景を見て、性の多様性を積極的に認め合うような空気を感じ、心が温まった経験があります。また、オックスフォードには性的マイノリティの方たちのためのパブやクラブがあります。アンケートなども、性を選ぶ欄が「男、女、その他」の三択ではなく、たくさんの選択肢があります。街に出ると、LGBTQ+コミュニティの多様性を表すレインボーフラッグが、あらゆる建物に掲げられており、イギリスは性的マイノリティの方々も置き去りにされない、インクルーシブな環境が整っていると感じます。しかし、先日、肌の黒いインド人のフラットメイトが、今まで経験した人種差別的発言や視線等について話してくれたのですが、それを聞いて、イギリスもインドも日本もいろんな差別や不平等が残っており、それによって心を痛めて、苦しんでいる人がたくさんいるということを改めて実感しました。まだまだ時間がかかる難しい課題であると思わされました。

以上が、主な四つの気づきでした。他にも、読み書き障害の学生に対する手厚いサポートや大学の教授たちによるストライキなど、イギリスならではのSDGsに関する取り組みを、日々、たくさん発見しています。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。