留学レポート現在海外留学中の学生からの近況報告をお知らせします。

一覧へ

2024年2月【留学レポート】カーディフ大学 外国語英米学科4年K.N

2024年03月12日

こんにちは。英米学科4回生のK.N.です。私は現在、英国にあるカーディフ大学のビジネススクールにて、Business and Economicsを専攻しております。

さて、2月となり、春寒の候とは言いますが、ここイギリスにおきましても、肌寒さは残れど長かった夜も少しずつ短くなり、陽光を浴びる時間がまた楽しくなってきました。

交換留学も半期を終え、慣れ親しんだこの国への愛が深まり、自身の成長に対する幾許かの不安も同時に募らせる日々を過ごしています。

このレポートにて、何を書こうかと頭を抱えておりましたが、同大学の皆さんが寮生活や授業、余暇など、基本的なことは既に紹介なさっておりましたので、私は一点、「批判的になる」ということについて綴らせていただければと思います。

 

「批判的になる」ということ

私は授業にて、国際組織経営学を始め、国際貿易論や金融、経済学やマーケティング戦略論、現代ビジネス学など、多岐にわたる分野の、いわゆるビジネスを学習しています。

ビジネススクールの授業は1コマ2時間、週に講義を6コマとチュートリアルという少人数型の学習機会がおよそ3コマ程度あります。そしてどの授業でも特に強調して指示を受けるのが「批判的に物事をみなさい」というものです。ITやICTなど、高度な情報社会に生きる我々にとって「情報」を得るということは至極簡単だと思います。しかし同時に、それ故に錯綜する情報の中で真実性の高い、確かなものを探し出す難しさも感じる現代でもあります。各国の経済政策は、どのような国民の生活があり、投資家や企業の期待があり、政府の狙いがあり打ち出されているのか。表向きの情報だけを信じるのではなく、より高い真実性のある情報を見つけ出し、考察し、評価する。こうした学習プロセスを経て、当大学のみならず多くのイギリスの大学生は「より確かな情報を探求し、批判的に考察し、自身の意見を確立する」というスキルを高めます。

批判的になることは一見難しそうに聞こえるかもしれません。事実、確かに難しいと感じます。しかしながら、難しいからこそ挑戦する価値を見い出すことができ、成長への第一歩になり得ると考えます。更に、私生活においても、また帰国後においてさえも、このスキルを応用することが出来るようなれば、より知見を深め、自身のスキルアップや目指す目的の達成へと近づけるようになるのではないかとも考えます。

恐らくこのレポートを読んでくださっている学生さんの多くは留学を考えていることかと思います。皆さんは何故、留学をしたいと思うのでしょうか。将来国際系の仕事に就きたいから?国際系の仕事に就きたいのは何故でしょうか?外国人と沢山関わりたいから?では何故それを仕事を通じて達成する必要があるのでしょうか?このように、自身の目標や思いに懐疑的になることで、限られた貴重な時間や体力の中で本当に達成すべきこと、そしてそのためのより確実なステップが見えてくるかと思います。

私には将来、アフリカで貧困や紛争に苦しむ人々を救い、国際的に彼らの活躍の場を広げることで人々の可能性を高め、ゆくゆくは貧困を無くしたいという夢があります。そのためにはヨーロッパの、他国から多くの人が訪れる国で、様々なバックグラウンドを持つ人々と関わり「現実」を知ることが必要だと考え、この留学を志望しました。

渡英してからは、休みの間に国内外問わず旅を続けたった一人で色々な景色を見て周り、様々な人種の方々と出逢い、話をしてきました。

友達となった人も少なくなく、今の段階ではアフリカからはタンザニア、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカの友人ができ、現地の実態を日々学んでいます。そして、彼らと深く話していく中で、私がそれまで描いていたアフリカへのイメージはガラッと変わりました。経済の発展を遂げ、今では世界の輸出入で活躍する国や、他国と経済連携をとることで地域全体として成長を図っている国々も沢山あると伺います。タンザニアの友人は、「ニュースや世界へ発信される情報ではアフリカは貧困に苦しんでばかりだとあるけれども、実際にこの10年でアフリカは凄まじくその発展を見せている」と指摘していました。残念ながら、依然として貧困や紛争に苦しみ、救助を求める国民も多くいる現実もありますが、ニュースだけを見ていたのでは、私は目立つ情報ばかりに踊らされてしまっていたと感じます。

ここイギリスにおいても、一見するととても進んだ国に思えるかもしれませんが、ホームレスの人たちはどの町に行っても必ず居て、スーパーの入口や大通りで声をかけて物乞いをされることも少なくありません。

多くの方々のご支援、ご協力のもと、実際に留学を実現し、渡英することで、また自分の足で国や地域を周り、目と耳で現実を知ろうとすることでより確かな「現実」を目の当たりにできていると思います。そして、それは全て「批判的になる」という意識に帰着していることにほかならないと感じます。

皆さんも、是非今一度、どんな目標を持ってこの留学に臨むのか、その先に何を見るのか、よく思考し、「実現に向け努力する習慣をつける」努力を検討してみても良いかもしれません。

 

ここまで偉そうにたらたらと綴ってしまいましたが、私自身、何度も何度も思い悩み、病気や鬱気味になることも少なくありません。

渡英してすぐはなかなか友達ができず悩んだり、あまりの日本との違いに困惑することもありました。これは私だけではなく、およそ多くの他の留学生も同様に悩み、辛い思いをしてきたことかと推察します。InstagramやTikTokなど、ソーシャルメディアではキラキラした留学生活ばかりを目にするかもしれませんが、現実は異なります。でも大丈夫です。支えてくれる仲間は必ず居ますし、大学で友達ができにくかったら隣の大学、国内の他の地域、世界の他の国と言った具合に、色々と回ってたくさんの人と出逢い、話をしてみてください。そうするうちに自分を想ってくれる仲間が増え、多様な景色を知り、帰国する頃には多くの財産を得て戻ってくるはずです。そのようにしてきた私が保証します。

私は今、夢の実現に向け次のステップとして、地域になにか還元したいという思いから、いくつかプロジェクトを構想し、達成に向け仲間を集めています。

また、一人旅も続けております。これまで国内外で20都市以上を旅し、時にはプラハの郵便局で英語を話さない局員さんと対峙してドイツに贈り物をしたり、アイスランドで-22℃の極寒の氷山の上で遭難しかけたりと、楽しくもなかなかスリリングな思いをしてきました。今後も安全には十分注意しつつ、ひとり旅を続けることで、自身の世界観を拡げていきたいと考えています。

私の留学レポートはこのひと月で終わりとなりますが、人一倍悩みを抱えたり思考してきた自信がありますので、皆さんの留学への興味や不安の払拭に少しでも貢献出来るかと自負します。ご希望とあらば是非、国際教育交流センターの方にご連絡してみてください。喜んで協力させていただきます。

留学を目指す皆さまの目標、目的達成を切に願っております。

最後になりましたが、私の留学を支えてくださった家族や大学の先生方、友人、全ての方々に心より感謝申し上げます。日本に帰るその時まで、留学を全力で楽しみ、ひとつでも多くの財産を得られるよう、今後も努めます。

大変長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきまして、本当にありがとうございました。

ロンドン ウェストミンスターにあるホワイトホールの近衛兵

ドイツ ベルリンの壁

チェコ カレル橋から望むプラハ城

オーストリア ウィーン市庁舎

オーストリア ウィーンの街を行く馬車

ハンガリー ブダペストのブダ城

アイスランド レイキャヴィクの凍った川の上でスケートをする人たち

アイスランド ヴィクの大きな氷でできた山の道中

アイスランド カトラの氷の洞窟

アイスランド レイキャビクのシンボル建築 ハットルグリムスキ大聖堂